看板建築

west2692009-12-25

今日の一枚は神楽坂の夜景。学生時代をここで過ごした。
その頃アルバイトに行っていた設計事務所がある3階建てのビルにいたら、どこからかニワトリの声が聞こえた。屋上に登って見下ろすと坂道の向かいにある木造住宅の屋根に鶏が住んでいるのが見えた。通りに面した面だけは鉄骨造モドキのモダンな建物風に見せているが、上から見るとサザエさんの世界なのだった。その後建築の世界ではこういう建物に市民権を与え、「看板建築」と呼ぶようになったが、当時はとても遅れたものに見えた。
旧友に会うために久しぶりに神楽坂に行くと、看板建築の町は本物のコンクリートや鉄骨で出来た現代的な町並みになっていた。まがい物が本物になった訳だ。
そして当時のなじみの建物はほとんど残っていない。あの頃ここで過ごした時間は本当に存在したのだろうか?少し心配なった。道幅は変わらないのに建物は随分高く、きれいに、立派になった。「それにしてもここも空が狭くなったね」。そんな話を友人と話して別れた。