赤い屋根の真実

west2692010-01-22

1月13日にこんなことを書いた。「食堂の窓から見える山のお寺の赤い屋根も白く見える」。今日の一枚はその「赤い屋根のお寺」。ブドウ畑が途切れたところから、急に険しくなる山の斜面に建っている。
ハイキングに行ったことがある知り合いの話では「あそこはお坊さんのいないお寺。静かで見晴らしも良くとても気持ちの良い所だよ」とのことだった。我が家からは良く見えるが、近づくにつれ果樹園と雑木に隠れて姿が見えなくなる。山門も無い。入り口も判らない。山の麓には普通の家が1軒あるだけで、あとは崖と藪ばかりなのだ。仕方なくその家の庭に入ってゆくとお爺さんが立っていた。庭の奥に向かってなにやらブツブツ唱えている。そして奥には石段が見える。「こんにちは」と声を掛け、脇を通り抜けて階段を上った。
下の写真は長い石段の上に建っていた建物。

向かって左側はすぐ崖なのだ。建具も畳も既に無く、柱と僅かな壁だけで屋根を支えている。宗教的な建築は時としてこんな難儀な場所に建つ。
写真を撮ってから、落ち着いて眺めてみると鈴が下がっている。埃だらけで長いことお金を入れた形跡も無いが、賽銭箱もある。でも内陣らしき空間と須弥壇みたいな物もある。結局神社なのか寺なのか。どっちなんだろう。
帰り際に先ほどのお爺さんに尋ねると「これは岩戸神社というのだ」と教えてくれた。しかし、地図でみると「岩戸観音」とあるのだ。
もう一枚おまけです。

建物の中から見た塩山の風景。「建築が風景に意味をもたらす」。神と仏のどっちでもいいから建てたかったのかもしれない。その気持ちは判る。