歳月人を待たず

west2692010-03-05

今日の一枚は「京橋3丁目ビル」。これから解体に入るところ。1978年の完成。設計は村野藤吾氏。
建築史家のK先生から「村野藤吾建築案内」という本を頂いた。コンパクトで持ち運びに都合が良い。それに案内図も付いている。早速活用することにした。
京橋のビルは噂によれば3月には解体が始まると言うが、「予定は未定」という言葉もある。何かの事情で遅れることもある。最後のチャンスかもと、八重洲口を降りて案内書を頼りにテクテクと歩く。レトロな明治屋ビルの角を曲がるとすでに解体用の仮囲いに囲まれていた。「歳月人を待たず」なのだった。
気を取り直して中央通りを浅草橋方面に歩く。それにしても暑い。今川橋を曲り、靖国通りに出て、左折して、神田川を渡るといきなり見えた。

設計者は同じ。一見平凡に見えるが、近くによると細やかなデザインが見えてくる。良い建築だと思う。橋のたもとでメモを取っていると、「当社に何か御用でしょうか」と声をかける人がいる。長いこと徘徊していたので不審に思ったのに違いない。説明のために鞄から件の本を取り出す。「ああ、それですか」と笑って戻って行った。