「たこ」の労働の日々

west2692010-03-04

2月が終わったと思ったら、3月も4日経ってしまった。今日の一枚は土壁の中塗り作業。
「俺の顔に泥を塗った」というのは恥をかかせたという意味だが、壁に土を塗るのは体裁を整えることになる。なかなか難しいものだ。
写真の現場は宮光園。この壁を塗り終えると、上屋部分(2階建ての所)は概ね出来たことになるので、続いて下屋(1階建ての部分)の作業に移る。基礎を設けて、土台を敷いて柱を立てる。梁を掛けて、屋根を葺いて、壁を塗って、建具を入れる。工期は3分の2過ぎたのに、なんと仕事はそっくり1軒分まだ残っているのだ。何だか振り出しに戻った気分ではある。
そんな訳で、下の写真は基礎工事。

石工が基礎石を据えている所。砕石を転圧して、固練りのモルタルの上に御影石を置く。高さを揃えるために、紺色のジャンパーを着た職人が、木製のハンマーみたいなやつで叩くと、石は少しずつ沈み込んでゆく。向側に座っているのは親方で「もうちょい」とか言いながら指示しているが、力加減が難しい。勢い良く叩きすぎて沈みすぎれば、やり直しもしばしばなのだ。
因みに木製のハンマーみたいなものは「たこ」と呼ばれるもの。そういえば何処と無く、似ているかも知れない。一人で使うものが「子たこ」で、2,3人で使うものを「大たこ」というらしい。現場ではいつも頭を叩かれているが、思い余って石を割ってしまうこともあるだろう。そんな時は「このたこ!」などと呼ばれてしまうのだろうか。気の毒な道具なのだ。