一期一会

west2692010-03-17

今日の一枚は「リンゴ小屋」。長野県の立科町の辺りを自動車で走っていると、いつの間にかリンゴ畑の中を通る道に入り込んだ。ウネウネと曲がるカーブをいくつか過ぎているうちに小高い丘の上に茅葺屋根が見えた。
日も暮れかかっている。でもこのまま通り過ぎてしまったら次に此処を通りかかることは多分、無い。
こういうのはリンゴ、じゃ無かった一期一会(イチゴイチエ)という。道端の少し広くなった所に駐車して、りんご畑の中を歩いて探しに行った。
リンゴの手入れをしていたおじいさんによれば、建物は畑仕事の道具を置いたり、休憩に使っている。宿泊はしない。ちなみに茅の素材は大麦なんだそうだ。「30歳の頃葺いたので、50年は経つなあ。新潟から来た職人が葺いたんだよ。小麦より大麦の方が寿命は長いんだよ」とのことだった。
下の写真はりんごの樹。

「国光」の幹に別の種類の枝を差して「富士」という銘柄のリンゴを作っているんだそうだ。枝を差し変えることで様々な銘柄のリンゴを作ることができる。
因みに、「国光」というのは古い種類のリンゴで、小さくて、酸っぱくて、かすかに甘みがあった。子供の頃トラックに積んで行商人が家の前までうりに来ていた奴だ。最近見かけないと思ったらそんな風にして、縁下の力持ちになって、どっこい生き残って来た訳だ。
花が咲くのはまだ先だが、枝の剪定をしたり、雪折れ防止の補強をしたり、病気で爛れた表皮の治療なんかを施していた。この辺の木は樹齢75年とのこと。おじいさんよりは少し若い。