虚白庵(こはくあん)お別れの会

west2692010-03-25

地下鉄のホームを歩いていると、同業者と思しき人物が前を歩いている。黒ずくめで、白髪混じりのオールバックでヒゲもある。いでたちは全く違うが同業者というものは何故か匂うものなのだ。
地上に出ると目の前を目白通りが横切っている。目的地までの地図をポケットから取り出しながら見回すと、横断歩道の向こうに人だかりがしている。最後尾には先ほどの人物が立っている。「ここですか?」と訪ねると「ここです」と答えた。やはり同業なのだった。
雨の中をタップリ30分は待った。途中、先に見学を終えた鎌倉のO氏とすれ違った。「良く前を通りかかったんだけど、内部ははじめて見た。残念な話だね」と帰っていった。
何だか告別式みたいじゃないかと思っていたら、入り口で渡された資料に「お別れの会」とあった。
無人となって久しい建物は既に廃墟と化していたが、仕上げやらしつらえやらそぎ落とした分、建築の構成が良く見える。
崩れ落ちた土塀を見ながら、生前の言葉「廃墟になっても美しい建築を造ろう」を思い出した。

「写真撮影は自由ですが公開・発表は遠慮ください」とのことですので、残念ながら写真を載せられません。代わりの一枚は「石水館」。先ほどの「廃墟になっても美しい建築を造ろう」とはこの建物を造っている時の言葉だそうです。