古民家の雨漏り対策

west2692010-08-07

山梨県甲府盆地の北東部の民家の特徴は「突き上げ屋根です」なんてことを、あっちこっちで言いふらしてきた。
ある日主要道路からちょっと外れた集落を歩いていたら、こんな屋根を見つけた。例外もあるのだ。というか、民家はむしろ例外だらけなのだ。
屋根の天辺なのによく見ると根元がめくれあがって穴が開いている。
以前年長の建築士からこんな話を聞いた。
「こういった素材や構造で造られる民家の防水は完全ではない。しかし雨が侵入しても、それはわずかな量であること、そして途中で吸収してしまうので生活には支障がなかったのだ。現代住居の素材と構造は途中で雨を吸収しないから雨漏りが目立つのだ。これからはその点に気をつけるように」。そんな話だった。
そういえば、昔の我が家にあった風呂場の煙突もこんなだった。
コールタールを塗った波型のトタンを箱状に加工して屋根から突き出していた。すこぶるつきの単純な作り方だったけど、そこから雨が入ってきた記憶がない。風呂場ではどうせ濡れるのだし、風呂桶自体が水漏れしていたので、その程度は問題にしていなかったのかもしれない。
中学の時に家を移築し、風呂場も建て替えたが、こんどは煙突がついていない。代りに、ボイラーと浴槽をつなぐ配管が必要になった。父親に石ノミとハンマーを渡され、職人でもないのに「これで壁に穴を開けろ」と言われた。今思うと不思議なのだが当時はそんなものだと疑問にも思わなかった。
開けた穴からはお湯と一緒にカエルやクモやカマドウマやコオロギも出入りしていた。風流でもあり、また当然のことながら隙間風が入ってくるのだが、隙間はほかにもたくさんあった。いい加減なというかおおらかな時代なのだった。