木馬の使い方

west2692010-08-15

右の写真は「馬みたいなオブジェ」。
なのだと、最初見かけた時には思った。
今日は一之瀬高橋というところに行った。およそ6年振りだ。同じ甲州市内だが、我が家の近くを流れる川は全て甲府盆地で合流して駿河湾に流れ込む。だが、一之瀬周辺の川は多摩川を経由して東京湾に流れ込む。そのくらい地理的にも日常生活圏としても縁がない。
そんなところにマサカリ大工が連れてきたドイツ人の大工達が小屋を造っている。マサカリ大工の仲間だけあって、彼らも電動工具を使わない。伝統的な職人の手道具だけで建築を造る。材木を切り出す準備期間を入れて、3年がかりの気の長いイベントだ。
聞きなれた電動工具の音が聞こえない工事場はのんびりしているように見える。だから先ほどの「馬」も誰かが遊びで作ったんじゃないかと思ってしまった。
ぼんやり見ているとドイツの大工の一人が馬に跨ってこんな作業を始めた。

馬に跨って、首根っこに後ろから楔を押し込んで、木製の鐙(アブミ)を踏ん張る。頭がのけぞって楔が固定される。その楔に刃物をあてて手前に引く。刃物をひく力と鐙で抑える力の相乗効果で、楔はがっちり固定されたまま削られてゆく。作業はサクサクと進む。実は重要な道具なのだった。
成程と納得した。
じゃあ、これは何をする道具なんだろうと見ていたけれど、いつまでも出番がない。
終わり頃、片付けられる道具類と共に引揚げられていった。その際の会話を耳にしたH氏(彼は英語とドイツ語も判る)によれば、果物を絞る道具なのだそうだ。小屋を建てる時間の合間に作っていたらしい。やはり、のんびりしているのだった。