耕運機

west2692011-04-08

知らぬが仏の鳩君に別れを告げて待ち合わせの場所に向かう。途中本屋があった。時間は充分にあるので何か読んで待っていようと立ち寄った。
買った本にはこんなことが書いてあった。大昔の中国。諸子百家の一人に墨子という人物がいた。ある時兵器を開発している知人を諫めに行く。知人は「あなたの理想に従ったら私は飯が食えない」と抗弁するが、「もっと大勢が食えなくなるのに比べれば、ずっとまし」と説得に成功する「非攻」(魯迅)。

原発は過疎地に造られる。雇用創出・地域の活性化などが大義名分だ。施設は補助金の獲得と若干の雇用も生み出したかもしれないが、最終的には地域経済を大きく破壊した。「もっと大勢が食えなく」なった訳だ。
それでもまだ「資源の無い日本には必要だ」と強弁する知事候補者もいる。「天罰」とか言ってのける程の言語センスで昔は小説も書いていたらしいが、魯迅はお好きではないようだ。

さて、今日の一枚は耕運機。これで土壁の泥を練る。佐久平の家では土壁塗を行うが、寒い時期は凍ってしまうので工事が出来ない。春が来て暖かくなってきたので、壁土の準備が始まるのだった。
震災の影響で、巷では合板・石膏ボードが不足気味だという。合板の工場の中には津波で流されてしまったものもあるという。だがここは土壁だ。素材から直に建物を作ることが可能だから工場は要らない。影響は少ない。工務店の社長は、「土壁は手間が掛かり、工事が進まないと敬遠されてきた。こんな時はそちらの方が工事は進む。皮肉なものだ」と話していた。
そんな訳で、こちらは土壁の下地。葦の木舞。