御幣土

west2692009-04-08

以前言葉が世界を切断する話を書いた。
カナダエスキモーの世界では同じ雪でも「降ったばかりの雪」「降って暫く経った雪」「溶け始めた雪」「溶けかかって、また凍った雪」などの単語がそれぞれあるという。この話は遥か昔に読んだ『カナダエスキモー』という本に書いてあったんだけど、もしかすると雪ではなくて氷の話だったかもしれない。
本を読み直して内容を確認している時間が無いので、信憑性にはまったく自信が無い。申し訳ない。興味のある方は読んでみてくださいね。
一見同じように白く見える雪でも、その違いが生存条件を左右する世界では、こんな具合に細かく雪の状態を言葉で切り分ける訳だ。
さて、今日の一枚は土壁。宮光園の解体工事は足場を掛け、建具を外し、漆喰を落とし始めた。土壁は創建時の造り方を尊重する。長い年月の間に補修・改造が行われ、どれが当初のものか判別が難しい。あっちやこっちや調査しながらオリジナルの壁を探すのだ。そうやって見て行くと、エスキモーじゃないけど、我々も壁の違いが判別できるようになる。古い壁・新しい壁・硬い壁・柔らかい壁・土の色・砂の色・藁の長さや、ひび割れの状態等々。
おそらくこの写真の壁が創建当初からの壁だったと思われる。これは土壁の状態で解体して保管し、サンプルとすることになる。
下の写真は保管の為に切り取る範囲を確認している所。

20年前も同じような仕事で一緒だった解体屋のおっちゃんが切り取る係りだ。おっちゃん曰く、貫の部分を中心に上下に切り取るのが良いとのこと。なぜかと聞くと、貫が骨になって壁が崩れないからだという。なるほど御幣餅みたいなものだな。