謎の地下室

west2692009-04-29

民家の保存修復設計では床下の調査も行う。床下は暗く、懐中電灯や投光機が必要だ。しかも低いので、腹ばいになったり、ヒンズースクワットのようにしゃがんだままチョコチョコ歩かなければならない。日ごろの運動不足がたたり、太ももが痛くなる。
さて、宮光園の床下にはこんな地下室(ムロ)があった(今日の一枚)。2年前に保存修理のための実測調査をした際に発見した。
この地域の民家は土間を入って最初にある板の間の一部をはがして、収納に使う例がある。同じような場所にある蓋を取ってみたら、人が入れるような室があった。
防空壕・野菜庫・何か大事なものの隠し場所など様々な推測が行われた。黎明期のワイナリーなので地下セラーなのかもしれないといった説もあるが、記録も無ければ、記憶のある関係者もいない。結局何時の時代にどんな目的で造られたのか、創建時から存在したのか、後世の仕事なのかサッパリ判らないままだった。
当初の計画では元通りに床板を張って「地下室なんて知らないよ」という感じにする予定だった。日本は木造建築の国といった印象があるが、こうやって見ると石積みの技術もかなり使われていたのだ。こうして白日の下に晒すと、きれいに積まれているし、なかなか面白い。公開時には、床板の一部を開口にして石室が見えるように変更することになった