石の割り方

west2692009-05-12

今日の写真は古瓦の刻印。解体途中の宮光園主屋の屋根から瓦を降ろすと何種類もの瓦が出てきた。少なくとも4種類はあるという。
一見同じような瓦なのに何でそれが判るのかと瓦職人に訊ねたら、こんな風に製造元の刻印が押して有るからだという。
そのほか大きさ・風化の程度などでも区別する。
また瓦の裏側に掘られた滑り止めの溝の有る無しを区別する。溝がある場合も手仕事で描かれたものと機械の型押しのものと分け、更に時代別に分別して、創建時に使われていたオリジナルな瓦を推測してゆく。
ちなみに写真の瓦に描かれた模様は「丸二」。主屋の創建は明治29年前後と推測されるが、それ以前に建てられた蔵にも使われていたことが判った。
さて、下の写真は地下の石室の天井に使われている石。

凹型の引っ込みはどうやら石を割る際に使われた穴らしい。見たことは無いが昔は石を以下のようにして割ったという。
1:石に穴を開ける。
2:乾燥した木材を石の穴に差し込む。
3:木材に水を含ませる。
4:木材が膨張する。
5:木材が膨らむ力で石が割れる。
我々に馴染み深い素材であるコンクリートも、圧縮する力には屈強に抵抗するが、引っ張る力にはあっけないほど弱い。石も同じなのだろう。硬い石を力任せにぶったたくのではなく、引っ張る力に脆いという、石の弱点を利用することを考えた人はすばらしい才能の持ち主だと思う。
戦争ばっかりやっていた軍人やら政治家が名を残す傍らで、人々の為に有益な発明・発見をした人は無名のまま歴史の中に消えてゆく。それもいいかも知れない。