幻のネズミサシを見た

west2692009-06-14

今日の一枚はネズミサシ。以前土蔵の解体中の写真を載せた。その際この土壁の小舞下地には竹の替わりに雑木を使っていると書いた。勝沼の考古学者M氏は「それはネズミサシじゃないのか?」という。かつて勝沼ではブドウ棚の支柱に使われていたからその可能性があるのだそうだ。しかし、その木は見たことが無い。
そこで樹種に詳しい マサカリ大工に来てもらった。「いろんな雑木を寄せ集めているけど、それは混じって無いよ」との答えだった。
さて、次の日は韮崎に行った。こちらは別の土蔵の修理工事だ。崩れ落ちた壁の中から木の枝がハミ出ていた。樹皮の様子から察するにどうやら針葉樹の一種のようだ。でも樹種は判らない。その場にいた建築主のKさんに聞いてみた。「知っているけど、名前が思い出せない。この尖った枝の根元が特徴なんだよ。ここらの山には沢山あった。何て言ったかなあ」。前日のことがあったので、もしやと思い話してみた。成る程、これが噂の「ネズミサシ」だったのだ。
ちなみに、ブドウ棚の支柱に使われていたくらいだから、ネズミサシは腐りにくい木なのだそうだ。確かに棘状の枝の根元はまだまだ硬い。鼠が触っても痛そうだ。米倉への鼠の侵入を防ぐのには向いているかも知れない。おまじないにもなるし。
下の写真はその崩れかけた土壁。中に見えているのがネズミサシの小舞下地。