何かの間違いかも

west2692009-06-20

今日の一枚は勝沼で見かけた石垣。江戸時代のものだとのこと。不整形な石同士を削り合わせて積み上げている。ノミを使ってカッコンカッコン削ったのだろうか。きれいに出来ているが、大変な労力だっただろう。
以前、我々の事務所で建築計画をした敷地は擁壁が石積みだった。開発業者のおっちゃんが重機を使って、力任せに馬鹿でかい石を積み上げていた。石のでかさも自慢していた。効率は良かったかも知れないが、繊細さがもう少し欲しかった。
「日本は木造建築の国」との話を良く聞く。大工技術が自慢な訳だ。しかし木工技術だけでは建物は建たない。昔の建物は石を積んだり、並べて造った基礎の上に建っていた。しっかりした基礎を造るためには石積みの技術が重要だったはずだ。
さて、現在は「基礎は鉄筋コンクリート」と法律で決められている。鉄筋コンクリートは中性化という現象で劣化し、鉄筋が錆びる。鉄筋が錆びるとコンクリートが剥落して、セメントと砂と小石の塊りになる。
永久不変の素材じゃないにもかかわらず、耐久性と耐震性の為に鉄筋コンクリートの使用が義務付けられる。もしかして、これは何かの間違いじゃないのか、と時々思う。
現存する世界最古の建築物が石積みであることからも自明なように、耐久性は間違いなく石のほうが上なのだ。変な話だ。
下の写真は駿府城の石垣。

城郭の主要な部分は17世紀初頭の築造といわれている。これもその一部だろう。上の建築はなくなったけど、石垣は400年の間こうして崩れず残っている。