県庁から電話です

west2692009-06-29

今日の一枚はシンポジウムの様子。テーマはここのところ頻繁に書いている県庁舎第一南別館(旧山梨県立図書館)の保存についてなのだ。
パネリストとして土曜日は人前で話した。今まで関係した古い建物の保存活用の事例をスライドし、「古い建築は地域の歴史を伝える図書館でもあり博物館でもある」「建築を学ぶ者にとっては教科書でもある。図面や写真じゃなくて実在することが重要なのだ」というようなことを発言したが、緊張していたのでちゃんと伝わるように話せたんだろうか。

ところで、シンポジウム会場の隣室では篆刻展を開いていた。始まる前に受付にいた年配の方達に「これから音が出ますが、御容赦ください」と挨拶した。偶然だが、その中の一人は旧図書館がGHQ進駐軍)に接収されていた時に裁判部門の採用試験を受けたことがあった。
「今私等が立っている辺りには当時米軍のカマボコ兵舎が並んでいた。誰も信じないけどね。懐かしいね。あれは空襲で焼け残った建物だから覚えている。それを壊すのかい?いい建物だったけどね。そんな簡単に壊してもらっちゃ嫌だねえ。是非残るようにがんばって下さい」と励まされた。この人にパネリストを代わって欲しかった。
建物周辺の古い写真を何枚か見たことがあったが、カマボコ兵舎の写ったものは無い。建物をきっかけに、そんな過去の出来事を知った。古い建物は歴史の記憶媒体でもある訳だ。
今朝、県庁から電話があった。「新聞報道を読んだ。話し合いの場を持ちたい」とのこと。1歩前進ということか。
下の写真は見学会の様子。

旧県立図書館の玄関に向かって歩く人々。親子連れもいる。意外なことに建築関係ではない方が多かったが、見学して帰ってしまったようだ。話も聞いて欲しかったなあ。