案ずるより生むが易し

west2692009-07-12

今日の一枚はヨロビ直し。2階の床梁にワイヤーを掛けた所。
建物は長い年月の間に骨組みが緩んだり、変形して歪んでくる。
木造の骨組みが歪むのは雨漏りや地盤の沈下などで土台が腐ったり基礎が沈むのが主な原因だ。この建物は2階建ての2階部分を何故か一旦撤去して、改めて2階を載せている。天井の高い洋館風の2階が欲しかったようだ。
そんな訳で1階と2階がそれぞれ勝手に歪んでいる。だから、1階を直しても自動的に2階が直るとは限らない。反対に「1階を直したばかりに2階の傷みが進んで、壁に亀裂が入る恐れがある」と工事関係者が異口同音に心配する。それは判っている。工事前に相談した左官職人にも同じことを忠告されたし.....。
心配ではあるけれど、くよくよしても始まらない。説得力に乏しいけれど「この現場は運に恵まれている。今までも何とかなった。今度も大丈夫」と、何はともあれ修正を試みることにした。
傾きを直すためにはこんな風に2階の南側にある梁と北側にある土台とにワイヤーを掛けて斜めに引っ張る(下の写真は土台にワイヤーを掛けたところ)のだ。

そうしておいて、もう1つ下の写真のようにチェーンブロックでギリギリと引っ張ると徐々に歪みが矯正されてゆく。

指の関節をポキポキ鳴らすように、ピッシッ、パッシッと音を立てながら柱が動き出す。曳屋の職人はその辺りのさじ加減が解かるらしい。「もうちょっと、もう一回転しろよ」などと観察と微調整を繰り返しながら、とうとう柱を垂直に戻してしまった。こういうのを見ると素直に感心する。幸い2階の壁は割れずに済んだ。やはりツイているのだ。