雨だれ石をうがつ

west2692009-08-10

「なんだ今日もへんてこりんな石の写真かい?」と思うかもしれないけれど、違う。今日は「石に付いた模様」の写真なのだ。
これは、小黒柱が乗っかっていた礎石に残った模様。小黒柱とは大黒柱の次に断面の大きな柱のことを指す。大黒の仲間だから恵比寿柱だなんて呼ぶしゃれっ気のある人もいる。他に福禄寿柱とか寿老人柱とかもあるのだろうか。お爺ちゃんが多くて、それはそれで古民家に相応しいかもしれない。
話がそれたが、柱が長いこと載っていると、どんなに固い石でもその跡が残る。
動かないようでも、建物は微振動をしている。柱も少しずつ微振動を繰り返し、石を削っているのだ。100年も経つとこんな風に、僅かだけれど跡が残る。「雨だれ石をうがつ」ではないが、柔らかい木材が、自分より固いはずの石を削る訳だ。
勝沼の考古学者M氏は「だから、土のなかから出てきた石にかつて乗っていた柱の大きさも推測できるんだよね」と言う。「今回は珍しいことに、柱が残っているからその必要もないけど、柱の下がこんなになるんだ・・・成る程」と感心して帰って行った。
下の写真は小黒柱の裏側。

M氏に倣い、柱の下を撫でて見ると、石との摩擦により磨り減って、ツルツルしていた。