「輪違い」と「青海波」

west2692009-09-08

今日は韮崎の家の現場。これは古い瓦を下ろして並べている所。屋根の防水層をやり変えて、同じ瓦を使ってもう一度葺き替える。
再生工事が始まり、天井をはがしたら、屋根から光りが洩れているのが見えた。それだけならまだ良いが、場所によっては空が見える。でも雨は漏っていない。困った。しばし悩んだ後、屋根も葺きかえることにした。

瓦を取り除いたら、瓦の重なり合う所で防水紙はほとんど破けていた。つまり全く役をしていなかった。
「(親父は)屋根は葺き替えたから大丈夫だって言ってたんだけどなあ、でもあれから40年経つから、さすがに無理だったか」とは一緒に屋根に上った建築主Kさんの感想だった。現在勝沼で平行して工事の行われている建物の瓦は、明治・大正・昭和と3代に渡り、中には推定明治29年なんてものもある。40年くらいじゃ新しいような気もするが、きっと感覚が狂っているんだ。古い瓦ばかり扱っているからに違いない。40年はやっぱり長い年月なのだ。
下の写真は大棟の瓦を重ねた所。

これも今まで屋根に載っていた材料だ。現地に行くとこんな風に仮組みで並べて有った。「輪違い」というやり方なのだそうな。今までと同じ意匠だが、雨漏りが心配なので瓦の間に漆喰を詰めたいという。もちろん依存は無い。
むしろ「輪違い」のサンプルの隣に、目立たないようにこんなのがそっと並べてあって、気になる。

「大屋根のもう一段高い所、格好悪いと思いませんか?」という。そう言われればそんな気がする。「何か考えがあるんですか」と聞いたら、「これはどうですか」という。
「青海波」という手法なんだそうだ。作戦だった訳だ。きっとこれでやりたかったんだな。