魚の骨の謎を解く

west2692009-10-26

今日は宮光園の家具修理の打ち合わせ。建築と同様、家具も時代に合わせた修理をしなければならない。保存状態の良いものから、崩壊寸前のものまで混じっているので、一台毎に様子を見ながら修理の方針を決めてゆく。今日の一枚はそんなテーブルの裏側。天板を下から見たところ。
何の変哲の無いテーブルだから捨てられる所だったけど、朴訥な感じが「ワインの試飲テーブルに良いかも」と残して置いた。
さて、魚の骨みたいな模様は溝状に彫ってある。例によって考古学者M氏によればこれが曲者なのだった。
かつて葡萄は「船(フネ)」と呼ばれる箱状の絞り機で絞られていた。絞り機の底板にはこんな風に枝分かれした溝が掘ってあった。葡萄をいっぱいに入れて、上から重しをかける。潰れた葡萄の液が底に溜まり、溝を伝わって流れ出る。
成る程そうか。でも、「船の底に使われていた板ならもっと厚かったはずだ」とのこと。そこで詳しく観察すると、天板は2枚の板を並べたもので出来ていた。しかも微妙に同じような木目模様だ。節の位置も数も同じだった。1枚の底板を2枚にスライスしてテーブルの天板にしていた訳だ。建物や地下ばかりじゃなくて、ここには家具にも油断がならなかった。
下の写真はそんな宮光園の2階風景。構造補強の床梁・柱と頭つなぎの入ったところ。