バカ棒

west2692009-11-24

今日の一枚は宮光園の床下から出てきたもの。4センチ角くらいの木材の表面にこんな風に数字が書いてあった。
四尺と書いてある。上下には3尺、5尺と書いてあって、それぞれ目盛りみたいな筋が刻んである。その間隔を測ってみると、丁度303ミリある。日本の伝統的尺度なら1尺だ。先端が欠けているが、以前は6尺=1間(1820ミリ)まであったものらしい。
現場でこうした角材をバカボンいや、バカ棒と呼んでいるのを聞いたことがあるが、それはどうやら方言又は俗語で、正式には間竿とか尺丈または尺棒などと呼ぶらしい。
勝沼の考古学者M氏の説明によれば、バカ棒すなわち間竿は春日権現記という古い書物だか絵巻物にも記載があるほど伝統的な道具なのだ。建築を作る際の定規として現場ごとに製作されていた。大抵は工事の終了と共に処分されてしまうから、こんな風に残るのは極めて珍しい。これで当時の寸法の基準が判る。
裏側には名前が書いてあった。その人は宮光園の賃金支払帳に記載のある大工の一人と同じ名前だという。間竿は棟梁が造り、管理する。これで建物を手掛けた棟梁の名前も判った。
下の文字は棟梁の住所。祝むら(村)と書いてある。

因みに宮光園の現在の住所は勝沼町祝地区。