帰ってきたレトロタイル

west2692009-12-22

今日の一枚は「レトロなタイル」。韮崎の家にはお蔵が5棟あってその1棟の片隅にお風呂が増築されていた。外壁は擬石風な洗い出し仕上げで若干洋風、内壁は緑色の渦巻き模様の付いたタイルと白いタイルが貼ってあって、当時としてはモダンな意匠だったのだろう。
しかしながら、室内で水蒸気をタップリ吐き出す訳だから、土と木で作られた土蔵はたまらない。タイルの間から水分が回りこんで土壁と土台を傷め、屋根も崩れ落ちていた。
やむを得ず解体することになった。他の建物は修理して残す計画なのに、これだけ解体されるのも可哀想だ。
家みたいに、長い間人間に尽くしてきた「物」にだってこの世に存在する権利があるという。それは、傑作・名作と呼ばれる建築ばかりにあるとは限らない。そんな文章を読んだことがある。ならば、我々にはそうした「物」を残すように努力する義務が少しはあるのかも知れない。せめて何か記念にと、洗い出し仕上げの外壁に埋め込んであったタイルを取っておいた。現在主流のタイルに比べると、上薬が厚くて、ボテッとした感じだが、今はない手の跡を感じる。再生民家ならこのバタ臭さも新鮮に見えるかもしれない。アテは無いけど、そのうち何か思いつくだろう。
結局ストーブを置く床に埋め込む事にした。下の写真はその様子。昔の規格なので、他のタイルと厚さも大きさも会わない。そんな訳で一枚のタイルを刳り貫いて、真ん中にはめ込んでいる。