雪の日の現場

west2692010-01-12

今年初めて工事中の現場に出かけた。午前中は勝沼に行き、午後は韮崎だった。偶然だがどちらも土壁を塗っている。そして、今日はとても寒くて、お昼近くから雪が降ってきた。
土壁に凍結はタブーだ。
凍らないように勝沼では建物全体をブルーシートで覆って、建物を寒さから守っていた。本来なら雨風や寒さから身を守るのが建物の役割だが、ここでは反対なのだ。
韮崎は土蔵の修理だ。こちらは内部を仕上げているので、建物をすっぽり包む必要は無い。その代わり、塗った土が凍らないように蔵戸を閉め切って中でストーブを焚いていた。現場で職人達が働く場所は凍る様な寒さだけど、誰も居ない室内だけが暖かいのだった。
そんな訳で今日の一枚は修理中のナマコ壁。韮崎の家の土蔵は古い瓦が崩れ落ちていた。割れずに形が残っているので、再利用できそうだ。それに風化した表面の微妙な変化も面白い。左官職人と相談し、拾い集めてもう一度貼り付けることにした。
従来は竹釘と漆喰で固定されていたが、経年変化で瓦も壁も脆くなっている。そこで、ステンレスのビスで瓦が割れない程度にそっと留めて、モルタルで隙間を埋めて固定する。この後、漆喰でナマコを作って仕上げる。足りない所は新しい瓦を混ぜるけど、特殊な形の瓦が必要な箇所はモルタルでレプリカ瓦を作ってしまうことにした。そんな訳で下の写真は「尺八を吹く猫」