蟻の頭

west2692010-01-14

今日の一枚は梁の端部を修理した所。黒い部分が古材で白い所が新しい木材。虫害や雨漏りにより傷んだ部分を取り除き、同じ種類の木で修理する。これを接(ハギ)木などと呼ぶ。写真が小さいから判り難いけど、良く見ると木目まで揃えてあるのだ。
この場合、梁の下の部分には木材を引っ張る力が働くから、(黒い梁の先端部分みたいに)「蟻」という「蟻の頭」みたいな格好の形に加工して木材同士を繋ぐ。初めてこれを見たときは驚いたが、力の掛かる方向を考えれば壊れることは無い。古い木材の再利用を可能にするための優れた技術だと思う。コツがわかると色々と応用が利く。古い木造建築を修理する楽しみのひとつでもある。
下の写真は外壁仕上げのサンプル。

右が従来のもの。左が復元したもの。同じ石材や土を混ぜても中々同じような仕上げにならない。石の大きさ・配合割合・密度が異なれば表情も変わる。それに同じ建物でも採集した場所により、古い部分の色もそれぞれ異なる。日照条件や雨のかかり方で、汚れ方も風化の程度も異なるのだ。木材と同様、後から行った修復の状況が判っても良いけれど、全く違っても困る。木工事同様、左官仕上げの修復も難しいのだ。と、ここまで書いて、何度も眠ってしまった。そんな訳で本日これまで。