姿の無い魔物

west2692010-02-15

今日の一枚は宮光園の現場。屋根の工事が終わって覆屋と足場を取った所。今週の土曜日に大勢見学に来る予定だが、窓もなければ、周辺に取り付く予定の1階の屋根も壁もない。丸裸な雰囲気だ。なんだか一番冴えない状態で出迎えることになる。空が暗いせいか「どろろ」という漫画に出てくる、手も足も目もない百鬼丸を連想してしまった。
どろろ」の物語で百期丸が魔物と戦ったように、この建物もこれから体を取り返してゆかなければならない。
ところで、この時代(昭和初期)の建築を修理する際に問題となるのは大工・左官・瓦のような伝統的な素材と技術ではなく、ガラス・板金などの工業的な素材と技術だ。これらは時代遅れとなって需要が減り、利益が出ず供給が途絶えつつある。
世間にはものが溢れているのに、古い建物を復原するために必要なものが人知れず姿を消している。
現在の魔物は妖怪変化のように明らかにそれと判る姿の無い「経済社会」というシステムかもしれない。