アキレタメデスの点

west2692010-02-20

今日の一枚はカタツムリの内部、ではなくて螺旋階段。
下の写真は螺旋階段を上って、屋上から見える建設現場。操作員が乗り込んだ建設機械が行ったり来たりしている。人影は見えない。かつて建築を造るのは道具だったが、今は機械が作る。道具を使うためには原理を知る必要があるが、機械はそれが何故動くのかという原理を知らなくても、とりあえず結果を手に入れることが出来る。
毎度おなじみハンナ・アレントの「人間の条件」に「アルキメデスの点の発見」という節がある。とてつもなく長い棒と足場があれば、人間の力で地球を動かすことが出来る。いわゆるアルキメデスの「てこの原理」だ。近代の特徴の一つはこのアルキメデスの点を人類が発見したことにある。
近くのビルの屋上から工事場を見下ろしていたら、そんなことを思い出した。ちょっと違うけど、建築風にアレンジしてみる。
遠い宇宙の果てから地球を観察している人がいるとする。当初家を造った人々は二本足で立って、道具を持つ手もあったし、顔もあった。長い時間が過ぎて行くうちに、少しずつ金属の皮膚に覆われてきた。手や足は退化したみたいだが、大きく成長した頭をもたげたり振り下ろしたりして、家造りをするようになった。そして苦労して造った彼らの巨大な巣を同じ頭を使って、瞬く間に壊したり、また造ったりと、そんなことを頻繁に繰り返すようになった。
遠い宇宙の果ての観察者は思う。何処となく砂漠の蟻塚の風景にも似ているなあ、人類は虫になったんだろうか?なんて。

そんな訳で、柄にもなくお話を書きました。今日は保存問題の大会で家に戻れません。用意しておいた原稿を相棒がアップロードします。ではでは。