羽重ね張り

west2692010-04-26

今日の一枚は野地板。これは宮光園の北側下屋にある瓦屋根の下地。「羽重ね張り」と大工は呼んでいた。
我々の事務所で縁があるのは素朴な民家の簡単な屋根が多い。通常は板を無造作に並べているだけで、こんな仕事に出会うのは珍しい。なかなかきれいな張り方だと思う。瓦を葺いて隠れてしまうのは惜しいので写真を撮っておいた。作業していた大工曰く「天井なんかは普通こうやるんだけどね」とのこと。
確かに、カンナ掛けをして、薄くなったところを重ねるだけで、隙間の空かない板張りが出来る。今なら機械加工の板材を張ってしまうのが一般的だが、手道具主流の時代だったら合理的な方法だったのだろう。
教科書でなら見たことがあるが、現実には余り見かけない。かつて普通にやってきたことも、機械や道具や技術や人の心が変化して、難しいとか、特殊とか、もの珍しい仕事になってしまうのだった。
さて、屋根が終わると壁土の工事に入る。左官の材料(竹)の保管場所に行くと、早くも草が生えていて、こんな虫がいた。

てんとう虫。見かけない模様なのだ。カメラを向けると葉の裏側に回り込んだ。それで隠れおおせたと安心したらしい。葉をひっくり返し、カメラを向けても今度は動かないままだった。