ある企業秘密

west2692010-05-17

環境と建築についてのレポートを書くために東京から取材に来た大学生のF君は専攻は構造なんだという。「それなら『枠の内』という富山県の民家の架構があるから見に行こう」と熊野神社近くの作業場に行くことにした。
あちこち回って、作業場に着くと昨日まであった架構が無い。聞けば用件が済んだから、既にばらして部材の修理を行っているとのこと。月末には全て終え山北に持ち込まなければならない。のんびり観賞してはいられないのだった。
そんな訳で、今日の一枚は「埋木」の準備をしている所。増改築や内装の変化や造作の都合で、長い間には柱や梁に様々な傷が付く。ここに何があったのか不明だが、梁の側面に斜めに大きな欠き込みがある。同じ素材で同じような木目の木材を選んでこのように接着する。固定が完了したらサポートを外して、古い梁の形に合わせて削り出す訳だ。
ところで、下の写真は「企業秘密」なんだそうだ。

「枠の内」の南側に設ける部屋には曲った梁をこのように斜めに掛け渡す。必要なのは両端の位置を正確に出して、丸太を垂直に切り落とすことだ。
そのために左右に垂直に立てたベニヤの内側を柱の面に見立てて梁の端部を加工する。これでどんな曲り方をしている丸太も、同じ条件で速やかに加工することが出来るのだ。