長いノミ

west2692010-05-25

今日の一枚は「長いノミ」。骨組みだけじゃなくて、大工さんの作業風景も撮影してくれとのリクエストに応えるべく、この日もまた作業場に行った。
でも、見せ場なんてそんなにあるわけじゃない。多くの時間は延々と続く地味で根気強い作業に支えられている。測って、印をつけて、切って、削る。そして、測って、印をつけて、切って、削る。これを繰り返す。
20年以上前、木造建築のプレカット工場を見たことがある。プレカットが出始めた頃だった。林業の村が生き残りをかけ、他に先駆けて機械を導入したのだった。そこでは木材の加工の方法も順番もコンピューターで決められていた。番号を付けられた木材が積み上げてある。機械が順番通りに取り出してはセッセ、セッセと押し出して、ガーガー、ザッザッといった調子で削り出されてゆく。とても速く感じた。
しかし、この現場のように、古民家の架構に新しい木材を組み合わせる作業は自動化できない。図面を見て、考えて、確かめて、測って、印をつけて、切って、削る。そうやって部材を1本1本作っているのだった。とても気が長いのだ。
次の写真は「長いノミ」を使っているところ。

「鎌継ぎ」(4月27日参照)と呼ばれる仕口で、凸型の鎌を反対側で受ける凹部分を削り出している。深い穴もこうやって、型を使うこともなく垂直に且つ正確に削り出してゆく。