耐用年数

west2692010-07-20

今日の一枚は宮光園の古瓦。左側の「く」の字というか「へ」の字みたいに曲った瓦が隅の棟瓦。右側の丸い瓦が直線部分の棟瓦。「耐用年数の過ぎたようなものばかりじゃないか」とお叱りを受けそうだが、文化財なんだからしょうがない。かろうじて形を保つ程度の強度が残っているものを選び出して何とか再使用して、足りない部分のみ新しい瓦を補充する。
下の写真は下屋の瓦を葺いているところ。

泥を詰めながら一枚一枚葺いてゆく。下から葺き上げて来るから最後の辺りを葺く際には瓦の上を歩かなければならない。瓦の一部分に体重が載らないように、地下足袋を履いた足でそっと歩くのだが、脆くなった瓦は耐えられずに割れてしまう。
瓦に載らなきゃ仕事は出来ないし、乗れば割れてしまう。その場合は苦労して葺いた瓦をやり直さなければならない。悩ましいのだ。
ここでは職人の足もとから三列目に割れている瓦が見える。奈良から来た彼は「今日は5,6枚割れてしまった」と全身泥だらけで呟いていた。