アウトローな人々

west2692010-08-19

これは佐久平の民家の屋根裏。
瓦と野地板を取り外して、屋根から光が入ると、今まで暗くて判別できなかったものも見えてくる。煤けた土壁とその下地はこんな風になっていた。今日の一枚。葦で出来た小舞。
何となくヨシズに泥を擦り込んだ風情ではある。教科書に載っていた小舞は竹で出来ていたが、千曲川の流域では長いこと葦を使っていたのだ。川岸で葦が大量に生えている風景を見れば自然な選択なのだと思う。
さて、基準法上、長いこと土壁に強度は無いことになっていたが、何年か前にナントカという告示ができた。告示というのは法律の使い走りみたいなものだが、それによれば国で決めた竹の寸法や取り付け間隔や取り付け方法にならえば、今度はちゃんと強度を認めるという。だからもう「法律のせいで土壁ができない」なんて言わせないぞという理屈なのだろう。
だが、ここで定める方法は標準語みたいなものだ。方言みたいな葦小舞の土壁を認めることはできないのだ。
下の写真は現場の帰り道見かけた工事現場。

佐久平の家の工事を担当する棟梁たちの建てた家。ここでも新築にも拘らず、葦の小舞壁が作ってあった。案外アウトローな人達なのだった。