長閑な風景

west2692011-04-16

今日の一枚は「大月の家」。この家は山の斜面に建っている。家の前には駐車場もあるけれど、道が狭い上に斜面なので方向転換が難しい。運動も兼ねて坂下の集会場に自動車を停めて歩いて行くことにしている。
有酸素運動でもあるから、基礎代謝量の増加にもなるのだ。良くは判らないが体には良い事らしい。放射能汚染の時代に備えて抵抗力だってつけておかなきゃならない(なんちゃって)。セッセ、セッセと山道を登る。
写真は曲がった坂道の途中で撮ったもの。桜の向こうにのぞいているのが葺き替えた瓦屋根。
「長閑な風景だ」と思いながら建物に入るとやけに静かだ。誰もいない。風の音だけを聞きながら、あちらこちらとウロウロしていると建築主のW氏が軽トラックでやって来た。
職人たちは現場に来ない。なんと資材が無いのだそうだ。震災で工場が被災したキッチン・衛生器具・合板だけじゃなく、木材も不足がちになってしまったとのこと。規格木材が復興に回されてしまい、無いのだ。意外なことではあるが、自然素材である木材でも大引きや根太や垂木などには規格材があるのだ。
地域の製材屋や材木屋が姿を消して、多くの工務店は県外から材木を買っている。安くて便利ではあったようだが、大規模・大量かつ一元的な供給システムというのはこんなに脆いものなのだ。

そんな訳でこちらは大月の家の正面風景。

再生工事は解体から始める。建具を取り外し、屋根瓦を下し、壁を壊した。基礎を打ち、土台を取り換え、新しい柱を建てるまでは建物は不安定だ。W氏によれば「最後の補強柱を取り付けて、一休みしていたらグラグラと地震が起きた。家は大きく揺れたが大事には至らなかった」のだそうな。「壊れるのか、と思いました」とのことだった。