パテ

west2692009-04-27

食べ物だったら良かったけれど、こちらは建材の話。
右の写真でガラスを留めている白いものは「パテ」。なのだとずっと思っていた。
宮光園で建具修理の相談に乗ってもらった若い親方の見立てによれば、これは漆喰なのだそうだ。そういえばパテのような弾力性が無いし、ポロポロ崩れるさまは確かに漆喰に似ている。弾力性が無いのは風化したのが原因だと思い込んでいた。建設当時の山梨県の条件を考えてみればパテよりも漆喰の方が身近で大量にあって、しかも職人がいたので施工性もよかっただろう。漆喰は屋根瓦を止めるのにも使われるのだから当然窓にだって使ったわけだ。
さて、手元の資料によれば、明治時代に建てられた洋館建築の窓ガラスはこんな風に「パテ」で止められているが、時代が下るに従い木製の細い材で押さえるように変化している。
実は「パテ」だけでガラスを止めるのは心もとない。よくよく見ると、下の写真に見られるような薄い三角形の金属片を埋め込んでガラスを止めていた。

見えないところで、なかなか繊細な仕事を施している。
ちなみに、木枠の下の段で使われているのはおなじみの結霜ガラス。このガラスの製造年代と、建築の推定される工事年代(大正時代の後半から昭和の初期頃)とはほぼ一致する。