南京の謎

west2692009-10-06

今日の一枚は「下見板」。こんな風に板を横にして、端重ね状に張ってギザギザのササラ子という押し縁で押さえる工法を「ササラ子下見板張り」と呼ぶ。若い頃はいかにも日本風で苦手な意匠だったけど、あっちこっち建物を見ているうちに段々好ましく感じるようになって来た。目が肥えたのか、それとも歳を取ったのか。
ここで断線するけど、下見板の仲間には「南京下見板」というのもあって、こちらにはササラ子が付かないで、横に板を重ねたまま張って終わる。木造洋館の外壁にはこの方法が良く使われる。いい加減なようだが、ササラ子があれば和風建築で、なきゃ洋風建築ということになる。南京錠・南京虫・南京豆・南京袋・南京玉簾・南京結び・軟禁状態等々といった具合に、南京と名のつくものごとは多いが、何故「南京」と付くのか判らない。昔の日本人にとって、南京は欧米の香のするもっとも近い外国だったんだろうか。ちなみに、南京下見板はイギリス下見板とも呼ばれる。
さて、和風の下見板は再生古民家の腰壁に使われる。古民家だからコンクリートの基礎がない。地面から10センチほど顔を出した玉石の上に土台が乗っている。土台のところまで板張りをすると、床下の通気が出来ない。金属のガラリを嵌めこむのも興ざめだ。そこでこんな風に下見板の一部の角度を変えて、隙間を造ることにした。

角度を変えた板の下はこんな風に穴が開いていて、防虫網を張り床下の通気をする。