虫食い木材の補修

west2692010-07-17

今日の一枚は虫食いの古材。古民家には時折こんな古材が混じっている。シバン虫とかマツクイ虫の食害を受けたらしい。
100年以上風雪に耐えてきたんだから虫食いくらい当然なのだが、流石に表面がザラザラとささくれだった面で手に棘が刺さるのは困る。皮膚が擦り傷になっても困る。肌の触れるところは何とか対処しなければならない。しかし新しい材料に取り替えるのも、張り包んでしまうのも、削ってしまうのも悔しい。そんな訳で塗装職人に相談してみた。黙って話を聞いていた彼が「それじゃ、ちょっと試してみましょう」と、やにわに始めたのが次の作業。

1:直径1,2ミリの小さな穴が点在している所には、ゴムベラを使って薄く溶いたトノコを詰める。
2:著しく食害を受けて、表面がボソボソになったところにはパテを詰める。詳しくは知らないがトノコとパテは異なる。トノコは石の粉。パテは何だか判らない。とにかく「パテ」なんだそうだ。パテの入った缶のラベルを撮ろうとしたら「中身と入れ物は関係ない」とのことだった。
3:その正体不明のパテをグイグイとささくれ立った表面に押し込んでは布で拭き取る。拭き取りながらゴムベラで木目の風化した凹凸を復元してゆくのだった。
4:さて、塗装は「経年変化で煤けて黒ずんだ雰囲気」が望ましい。トノコを塗った場所には艶が無いがパテを塗った場所は反対にツルリと光ってしまう。補修の素材が異なる場所で、くっきり仕上げの調子が分かれてしまうのだ。「最悪それでもOK」と言ったんだけど、それじゃ面子が立たないのだろう。こんな感じに仕上げてあった。